「巨大版画で江戸がよみがえる 大・富士山展 〜世界で一番美しい ボストン美術館 門外不出の浮世絵コレクション〜」です。
富士山の世界文化遺産登録に沸き立っている中でこの展覧会に行くのはミーハーっぽくてちょっとイヤンな感じなのですが(それをわざわざ書くのも言い訳っぽくてイヤンな感じではありますが)、この展覧会を知ったのは5月に愛知県美術館に行った時の事でして。長崎の展覧会の事を愛知で知るというのも妙な話ですが、面白そうなのでタイミングが合えば行きたいと思っていたのでした。それがまさか世界文化遺産登録のタイミングにぶつかるとは…。まぁハウステンボス側はそれを狙っていたのかもしれませんが。
まぁ何はともあれ展覧会です。内容は大きく分けて4つ。展示順に説明しますと、最初に展示されているのは「望月コレクション」と呼ばれる浮世絵のコレクションから富士山の描かれているもの、本物の浮世絵の展示です。先日歌川国芳展に行ってきたばかりではありますが、版画でこんな細やかさや色合い、グラデーションを表現できるなんて本当にスゴイとこの時点でも思います(後々への伏線)。
2番目は写真家・テラウチマサト氏の富士山シリーズの写真を和紙に印刷して展示しています。和紙独特のインクのにじみ具合が良い雰囲気を出しています。飛行機の窓から撮影した富士山と夕焼け(朝焼け?)で紅く染まる富士山の写真が好感触でした。
3番目はピーター・A・マックミラン氏による、富士山をテーマにしたポップアート。こちらは…私にはよく分かりませんでした。最後の方に展示されている、長寿の富士山の絵と星条旗の星が桜と富士山になっている絵が敢えて言えば好みですかねぇ。
そして2階に上りまして、4番目にして本展覧会の目玉である巨大デジタル版画です。公式サイトから説明を要約しますと、まずスポルディング家が浮世絵のコレクションをボストン美術館に寄贈するのですが、その際に「浮世絵は光に弱いから一般公開しない事」という条件をつけたと。その為、ボストン美術館所蔵の浮世絵コレクションは色彩鮮やかな状態で保たれているとの事。その浮世絵コレクションをデジタル化して巨大な和紙に印刷したものを今回の展覧会で展示している…という次第です。
ここから先は写真撮影可能との事で、どんな雰囲気なのかをちょこっとだけお見せしましょう。
こういう風に浮世絵の一部分を和紙にバカでっかく拡大されたものが展示されておりまして…、
その横には浮世絵の解説と全体図の縮小版が一緒に掲示されています。
本当に拡大されておりますので、
大波の勢いっぷりもバッチリ見えるわけです。
船乗り達も細かく描かれています。
もちろん富士山もバッチリです。
他の作品も観てみましょう。こちらの赤富士ですが、
グラデーションとは違う、横に走っている白い線が分かりますか?これ、版の木目だと思うんですよね。こんなところまで分かってしまいます。
この鯉のぼりと猫の浮世絵は…、
本当に一部分に限定して思いっ切り拡大しています。こうした展示の作品もあります。
鯉のぼりの浮世絵は、のぼりの絵や右下の人間まで描かれているのが分かりますし、
猫の浮世絵は、猫の上にある黒だかりが森かと思ったら遠くに居る人だかりだというのが分かります。版画でコレを彫っているわけですよね…。この表現の細やかさ、絵師・彫師・摺師の方々の技術力に驚嘆なのであります。
この鯉のぼりと猫の浮世絵は最初の展示の中に本物が展示されていますし、同じ様に本物と巨大デジタル版画の両方が展示されている作品がいくつかあります。なので2ループは必須なのでありますが、パレスハウステンボスに入ってしまえば展示会場には何度も入れますので問題なしです。思う存分堪能できるわけですね。
浮世絵をそのままの形で観るのもとても楽しいのですが、こうして巨大に拡大化して細部の表現を観るのもとても楽しかったです。パレスハウステンボスはフリーゾーンなので、かかる費用は料金の500円+交通費のみ。まぁハウステンボスに行くのがちと大変ではありますが、なかなかオススメの展覧会だと思いますよ。
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