2013/07/23

「風立ちぬ」を観に行きました。

スタジオジブリ、宮崎駿監督の5年ぶりの作品、「風立ちぬ」。7/20公開からエライ騒ぎになっています。「千と千尋」を最後に劇場ではジブリ作品を観ていなかったのですが、この「風立ちぬ」は最初の発表の際には飛行機モノの様に見えましたので、「紅の豚」好きとしてはとても興味を惹かれておりました。

そんなわけで一日でも早く見に行きたいと思う中、色々な都合がありまして本日観に行って参りました次第です。以下、感想内にネタバレが含まれますが、ネタバレ無しで言えるのは、「大人向け」で「万人に受ける作品ではない」けれど「とても良い作品」でした。

正直に申しますと、ラストシーンまで大きく心を揺さぶられるという様なシーンはありませんでした。大げさなアクションシーン等もなく、ストーリーはただただ淡々と進んでいきます。

しかしスタッフロールで荒井由実「ひこうき雲」が流れるのを聴いているうちに涙が溢れてきそうになりました。何とか泣くのはこらえましたが、30過ぎのオッサンになると涙もろくなっていけません。--;)

何でなのかなぁというのを一緒に観たオクサマと話し合いながら考えてみたのですが、二郎・菜穂子とも自分の気持ちにまっすぐに一途に生きているという事に感銘を受けたのかな、と今のところは思っています。

「美しい飛行機を作りたい」という夢に向かって、ひたすら迷う事なく進んでいく二郎。まぁ作中では一度だけ立ち止まりましたが、そんな時に菜穂子と再会したわけで、この辺はファンタジーですよねぇ。脱線終わり。

そんな菜穂子も、自分の死期が迫っている事を知ってか療養所を飛び出して二郎の元へ向かう。そして床に伏せりながらも仕事から帰ってくる二郎を迎え、仕事に出る二郎を見送る。心配を掛けない様に紅を塗り化粧をして。

菜穂子は二郎に対して、仕事を捨てて自分のために生きて欲しいと願っているわけではなく、二郎が夢を追う様、一番輝いている姿をそばで見たかったのだと思います。

こんな風に考えるのは男に都合の良いファンタジーなのかもしれませんね。けれど私は好きです。

朴念仁っぽい二郎が菜穂子のそんな気持ちに気付いていたかは分かりませんが、二郎は二郎で同じく仕事を捨てて菜穂子と共に過ごすのではなく、自らの夢を追い続けたまま菜穂子とも寄り添います。どんなに忙しくて疲れていても、きちんと菜穂子の待つ家に帰ってきて持ち帰り残業しているところからもそれは分かります。

結果的に日本は戦争に負け、二郎が設計した飛行機は一機も日本に帰ってこられなかった。どうしようもない時代の流れの中で、それでも自らの心に真っ直ぐに生きた2人の人生に私は心を打たれたのだと思います。

スタッフロールで流れる「ひこうき雲」はまるでこの映画のために書き下ろされたかの様な楽曲で、とても40年以上も前に発表された曲とは思えません。歌詞が二人の姿にピッタリと重なって、これからはこの曲を聴くだけで涙が出てきてしまうかもしれません。(T_T)

表現的なところに関しては、SEを人間の声で行うという大胆な手法を採っていますが、宮崎駿作品のメカが持つ有機的・生物的な動きに合っていると思いました。

二郎の声は庵野監督、声優初主演作でもあるわけですが、ひたすら夢を追い続ける二郎には合っていると思いました。

ふと気付いたのですが、学生時代に加代が二郎の下宿を訪ねてきてから避暑地で菜穂子に再会するまで、つまり就職してからしばらくは女っ気が全くないんですよね。そのあたりにも二郎の飛行機への想いの強さが表れている様に思いました。

お子様お断り(20歳以上推奨、せめて高校生か?)です。万人向けではない、観る人を選ぶ作品だと思います。だけど必ず観て欲しい(合わなかったら合わなかったで仕方ないです)。そんな作品だと感じました。Blu-ray/DVD化されたら絶対に買います。



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