2017/02/03

「虐殺器官」を観に行きました。

ついに2月3日がやってきました。2015年10月のはずが、制作中だったマンゴースタジオ破産のニュースで完成すら危ぶまれた「虐殺器官」。しかし新しく立ち上がったジェノスタジオに引き継がれてついに完成。予定から1年4ヶ月遅れ、ついに本日公開されたのです!「観に行かない」なんていう選択肢があるのか?いやない!!というわけで何を置いても観に行きましたよ…という次第です。よく分からない文章ですね。

この「虐殺器官」、そもそも戦闘シーンが色々と多かったりするので映像化は結構難しいんじゃないかと思いましたけど、R-15指定にする事で変にボカす事なくきちんと描く事ができておりました。そして内容が結構盛り沢山だったりややこしかったりもするので、2時間の映画にまとめきれるのかと思いましたが、色々大胆なアレンジを加える事で2時間にまとめきりました。話の根幹に関わると思われる要素をゴソッと削っていたのには驚きましたが、それでもうまくまとまっていて驚きました。ラストに至る流れやラストシーンも原作とは違った展開にアレンジされているのですが、あれだと人によって色々な捉え方もできるし、うまいなぁと思いました。

今回の「Project Itoh」の三部作に共通するのは、原作をそのまま映像化するのではなく、原作を素材として捉えて映像作品として楽しめるものになる様にアレンジを加えているところです。特に「屍者の帝国」はそれが顕著でした。そうした改変が受け入れられない人には受け入れられないのかもしれませんが、私は満足して観る事ができました。特に「屍者の帝国」、原作の方はなかなか読むのが大変でよく分からなかったので。^^;)

ただ、原作を読んでいなかった妻が鑑賞後に言った様に、願うならば当初の予定通り「虐殺器官」→「ハーモニー」→「屍者の帝国」という順番で観たかった…という気持ちはあります。「虐殺器官」で警告していた管理社会が実現してしまったのが「ハーモニー」ですから。

そんなこんなで戦闘シーンがかなりバッチリと描かれていますので万人に勧められるものではないのですが、できれば多くの方に観て頂きたい作品だと思いました。そして原作も読んで二度楽しんで欲しい、です。


以下はネタバレです。

とりあえず驚いたのは、母親のネタをバッサリとカットしていた事。クラヴィスというキャラの根幹に絡む設定ですので、そこをカットするのか!?と本当に驚きました。しかしこれを盛り込むと2時間の映像作品として話がまとまらなくなると思いますし、英断だったと思いますが私は正解だと思いました。

そしてラストに至る流れ。「屍者の帝国」はともかくとして、「ハーモニー」は最後に至る事象は同じですがミァハへの対応や想いが原作とは違う事に驚きました。そして今回の「虐殺器官」もジョン・ポールとの最後の対話やラストシーンに大幅なアレンジが加わっていましたが、私はあれはあれでアリだと思います。

最後の対話については、今回は2時間のアニメ映画ですので、映像作品として何らかのカタルシスがあるものでないといけない。であればああいう対話の上での流れになるのはアレンジ案としてアリだと思います。

そしてラストシーン。原作では虐殺の嵐が吹き荒れ始めたところを示して終わるのですが、映画ではその辺はぼやかして描いています。しかし告発シーンの合間に虐殺の言語を分析するシーンも挟まれており、独白の内容からするとおそらく告発の中に虐殺の言語を織り交ぜていたと思うのです。ハッキリと明示はせずにそれを匂わせるのは面白いアレンジだと思いました。音声と映像という2つの表現が重なって出来上がる、映像作品の特性を上手く行かしていると思いました。原作を知っている人ならばこの後に起こる事についても想いが及ぶ様な作りになっていましたし。

とにもかくにもこれで「Project Itoh」は一段落。寂しいですが、素晴らしい映像作品を作って下さったスタッフの皆さんに大感謝です。m(_ _)m





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